偽装

駅前の工事現場には、大きな看板が立っていた。

建物の完成予想図だ。

ガラス張りで、
緑が多くて、
人々が笑っている。

彼はそれを見ながら通勤していた。

ある朝、
看板の端が少しめくれているのに気がついた。

下から覗いていたのは、

なぜか同じ完成予想図だった。

同じ建物で、
同じガラス張りで、
同じように人々が笑っている。

ただ、
よく見ると、
笑っている人が全員、
同じ顔だった。

彼は何かを考えようとしたが、
会社に向かううちに忘れてしまった。

その日、
彼は一日中、
自分の名札が
少し重い気がしていた。

帰宅して外すと、
名札の端が少しめくれているのに気がついた。

その下に何があるのかは、
確かめなかった。

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