行列のできる店

行列のできる店

駅前に、行列のできる店があった。

特別な看板があるわけでもなく、
メニューも外からはよく見えない。

ただ、いつ通っても人が並んでいる。

ある日、時間があったので、
彼も列の最後に並んでみた。

前の人はスマホを見ていて、
後ろの人は何も見ていなかった。

少しずつ進む。

途中で、
何を売っている店なのか
分からないことに気づいた。

誰も話さない。

並ぶ理由を聞く人もいない。

入口が近づくと、
店内から紙袋を持った人が出てきた。

中身は見えなかった。

店に入る直前、
彼はふと時計を見た。

2時44分。

思ったより時間が経っていない。

順番が来た。

中は、思ったより狭かった。

カウンターの向こうで、
店員が一言だけ言った。

「今日はここまでです」

彼は外に出た。

列は、
さっきよりも長くなっていた。

何の店だったのかは、
最後まで分からなかった。

売っているものを買いたいわけでもない。

それでも、また明日も並ぶのだろう。

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