小さいおじさん

小さいオジサン

朝、靴下が片方だけ見つからなかった。

洗濯機の奥でもなく、
ベッドの下でもなく、
昨日の服の中にもなかった。

仕方なく別の靴下を履いた。

昼、会社では、
コピー機が一度だけ紙を詰まらせ、
自販機はおつりを返してこなかった。
誰かに話すほどのことでもない。

夜、家に帰ると、
テーブルの上に
ネジが一本置いてあった。

何のネジかは分からない。
足りなくなって困っている物も、
今のところ思いつかない。

そのとき、
「小さいオジサンがいるらしいよ」
という昼間の雑談を思い出した。

そういえば、
朝から少しだけ
世界の手応えが遠い。

靴下は最後まで見つからなかった。

代わりに、
引き出しの奥から
昔なくしたはずの鍵が出てきた。

鍵穴は、
まだ見つかっていない。

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