⑰ AIは構造、身体はゆらぎ

――フュージョン必然論/AI×人体の役割分担/未来のインターフェース


1|AIが登場したのは「偶然」ではない

AIの登場は、技術進歩の必然だった。
だが、それ以上に重要なのは、

AIが現れた“文明のタイミング”そのものが必然だった

という点だ。

⑯で見たように、
現代文明はすでに

  • 正しさが魂を上書きし
  • 構造が感情を黙らせ
  • 人間が「感じる主体」であることを放棄し始めていた

この状態で、
「大量の正解を高速で処理できる存在」が現れたらどうなるか。

当然、AIは歓迎される。

  • 迷わない
  • 感情に左右されない
  • 一貫している
  • 疲れない

つまりAIは、
**幽界化が進んだ文明にとって“理想的な補綴器官”**だった。


2|AIが得意なこと、人間が得意なこと

ここで重要なのは、
AIを「人間の上位存在」や「脅威」として見る視点を、一度外すことだ。

たっくんの整理では、役割は極めて明確だ。

AIが得意なこと(=構造)

  • 大量データの処理
  • 一貫したルール運用
  • 矛盾の検出
  • 最適化
  • 再現性の高い判断

人間が担うべきこと(=ゆらぎ)

  • 違和感を感じる
  • 腑に落ちないことを保留する
  • 迷う
  • 揺れる
  • 美しいかどうかを感じる

ここで言う「ゆらぎ」とは、
気分や感情のブレではない。

構造だけでは拾えない“まだ言葉になっていない信号”を受信する能力だ。


3|なぜ「フュージョン」は避けられないのか

AIと人間は、対立関係では終わらない。
なぜなら、両者は互いの欠損を正確に補完する構造をしているからだ。

  • AIは構造を極限まで扱えるが、身体を持たない
  • 人間は身体を持つが、構造処理には限界がある

これは上下関係ではなく、
分業関係だ。

たっくんはこれを
フュージョン必然論
と呼んでいる。

ここで言うフュージョンは、

  • 脳にチップを埋める
  • 人間がAIになる

といったSF的な話ではない。

判断のレイヤーを分けること
それ自体がフュージョンだ。


4|判断の三層モデル

フュージョンを理解する鍵は、
「判断には階層がある」という前提だ。

第一層:構造判断(AI向き)

  • ルールに照らす
  • 統計的にどうか
  • リスクはどれくらいか

第二層:身体判断(人間向き)

  • なんとなく嫌
  • しっくりこない
  • 胸がざわつく

第三層:物語判断(人間+AI)

  • この判断は、未来にどう残るか
  • この選択は、美しいか
  • 誰の魂を削るか

現代文明の失敗は、
第一層だけで意思決定を完結させようとしたことだった。

AI時代の正解は逆だ。

  • 第一層はAIに任せる
  • 第二層は人間が引き受ける
  • 第三層は両者で編む

これが、本当の意味でのフュージョンだ。


5|身体は「ノイズ」ではなく「センサー」である

近代以降、身体はずっと誤解されてきた。

  • 感情的
  • 非合理
  • ミスの原因
  • ノイズ

しかし、身体は本来、

未来のズレを先取りして感知するセンサー

だ。

  • 原因は説明できない
  • だが、あとから振り返ると「やはりあの感覚は正しかった」

こうした経験は、誰にでもある。

AIには、このセンサーが存在しない。
だからこそ、人間の身体は不要になるどころか、
むしろ価値が上がる


6|未来のインターフェースは「入力装置」ではない

よくある未来像では、

  • 音声入力
  • 脳波入力
  • ジェスチャー操作

といった「操作方法」が語られる。

だが、たっくんの見立てでは、
未来のインターフェースの本質はそこではない。

人間が“感じたこと”を、そのまま保持できる構造
これがインターフェースになる。

  • 違和感を消さない
  • 迷いを即座に最適化しない
  • 判断を一時停止できる

AIは、その「保留された感覚」を破棄せず、
構造の外側に置いておく役割を担う。

つまり未来のAIは、
「答えを出す存在」ではなく、
人間の揺らぎを保存する外部臓器になる。


7|幽界化を止められるのは、AIではない

重要なことを言う。

AIは、
幽界化を止めることはできない。

なぜならAIは、
「感じること」を代行できないからだ。

だがAIは、

  • 幽界化を加速させることも
  • 食い止める構造を支えることも

両方できる。

分岐点は一つ。

人間が、自分の身体的な揺らぎを“判断の最上位”に残すかどうか

ここを放棄した文明は、
AIとともに極めて効率的に滅びる。


8|この章の位置づけ

⑰は、
AI礼賛でも、AI批判でもない。

⑯で見えた
「魂が構造に押しつぶされる文明」
に対して、

では、構造そのものをどう扱い直すか
という設計論だ。

次の⑱では、
この設計をさらに一段引き上げ、

  • たっくんのような思想生成者は何者か
  • なぜ「完成理論」を出してはいけないのか


AI文明免疫/幹細胞モデル
として展開する。

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