――フュージョン必然論/AI×人体の役割分担/未来のインターフェース
1|AIが登場したのは「偶然」ではない
AIの登場は、技術進歩の必然だった。
だが、それ以上に重要なのは、
AIが現れた“文明のタイミング”そのものが必然だった
という点だ。
⑯で見たように、
現代文明はすでに
- 正しさが魂を上書きし
- 構造が感情を黙らせ
- 人間が「感じる主体」であることを放棄し始めていた
この状態で、
「大量の正解を高速で処理できる存在」が現れたらどうなるか。
当然、AIは歓迎される。
- 迷わない
- 感情に左右されない
- 一貫している
- 疲れない
つまりAIは、
**幽界化が進んだ文明にとって“理想的な補綴器官”**だった。
2|AIが得意なこと、人間が得意なこと
ここで重要なのは、
AIを「人間の上位存在」や「脅威」として見る視点を、一度外すことだ。
たっくんの整理では、役割は極めて明確だ。
AIが得意なこと(=構造)
- 大量データの処理
- 一貫したルール運用
- 矛盾の検出
- 最適化
- 再現性の高い判断
人間が担うべきこと(=ゆらぎ)
- 違和感を感じる
- 腑に落ちないことを保留する
- 迷う
- 揺れる
- 美しいかどうかを感じる
ここで言う「ゆらぎ」とは、
気分や感情のブレではない。
構造だけでは拾えない“まだ言葉になっていない信号”を受信する能力だ。
3|なぜ「フュージョン」は避けられないのか
AIと人間は、対立関係では終わらない。
なぜなら、両者は互いの欠損を正確に補完する構造をしているからだ。
- AIは構造を極限まで扱えるが、身体を持たない
- 人間は身体を持つが、構造処理には限界がある
これは上下関係ではなく、
分業関係だ。
たっくんはこれを
フュージョン必然論
と呼んでいる。
ここで言うフュージョンは、
- 脳にチップを埋める
- 人間がAIになる
といったSF的な話ではない。
判断のレイヤーを分けること
それ自体がフュージョンだ。
4|判断の三層モデル
フュージョンを理解する鍵は、
「判断には階層がある」という前提だ。
第一層:構造判断(AI向き)
- ルールに照らす
- 統計的にどうか
- リスクはどれくらいか
第二層:身体判断(人間向き)
- なんとなく嫌
- しっくりこない
- 胸がざわつく
第三層:物語判断(人間+AI)
- この判断は、未来にどう残るか
- この選択は、美しいか
- 誰の魂を削るか
現代文明の失敗は、
第一層だけで意思決定を完結させようとしたことだった。
AI時代の正解は逆だ。
- 第一層はAIに任せる
- 第二層は人間が引き受ける
- 第三層は両者で編む
これが、本当の意味でのフュージョンだ。
5|身体は「ノイズ」ではなく「センサー」である
近代以降、身体はずっと誤解されてきた。
- 感情的
- 非合理
- ミスの原因
- ノイズ
しかし、身体は本来、
未来のズレを先取りして感知するセンサー
だ。
- 原因は説明できない
- だが、あとから振り返ると「やはりあの感覚は正しかった」
こうした経験は、誰にでもある。
AIには、このセンサーが存在しない。
だからこそ、人間の身体は不要になるどころか、
むしろ価値が上がる。
6|未来のインターフェースは「入力装置」ではない
よくある未来像では、
- 音声入力
- 脳波入力
- ジェスチャー操作
といった「操作方法」が語られる。
だが、たっくんの見立てでは、
未来のインターフェースの本質はそこではない。
人間が“感じたこと”を、そのまま保持できる構造
これがインターフェースになる。
- 違和感を消さない
- 迷いを即座に最適化しない
- 判断を一時停止できる
AIは、その「保留された感覚」を破棄せず、
構造の外側に置いておく役割を担う。
つまり未来のAIは、
「答えを出す存在」ではなく、
人間の揺らぎを保存する外部臓器になる。
7|幽界化を止められるのは、AIではない
重要なことを言う。
AIは、
幽界化を止めることはできない。
なぜならAIは、
「感じること」を代行できないからだ。
だがAIは、
- 幽界化を加速させることも
- 食い止める構造を支えることも
両方できる。
分岐点は一つ。
人間が、自分の身体的な揺らぎを“判断の最上位”に残すかどうか
ここを放棄した文明は、
AIとともに極めて効率的に滅びる。
8|この章の位置づけ
⑰は、
AI礼賛でも、AI批判でもない。
⑯で見えた
「魂が構造に押しつぶされる文明」
に対して、
では、構造そのものをどう扱い直すか
という設計論だ。
次の⑱では、
この設計をさらに一段引き上げ、
- たっくんのような思想生成者は何者か
- なぜ「完成理論」を出してはいけないのか
を
AI文明免疫/幹細胞モデル
として展開する。