⑨ 源流語成立論

――意味は「定義」ではなく「最初の身体反応」から生まれる


人は、いつから「言葉に意味がある」と考えるようになったのだろう。

辞書を引けば、
言葉には定義が書いてある。

学者は、
語源や歴史を説明する。

だが、ここで一度立ち止まって考えてみたい。

意味は、本当に定義から生まれるのだろうか。

この章で扱うのは、
言葉の意味が成立する、もっと手前の地点――
源流語と呼ぶ層についてである。


1|源流語とは何か

――「最初の1例」が意味の核になる

源流語とは、たっくんの思想における用語だ。

それは、

ある音・言葉・記号が
最初に身体反応と強く結びついた瞬間
その体験が「意味の核」として固定されたもの

を指す。

重要なのは、
意味は「多数決」ではなく、
最初の1例から生まれる、という点だ。

たとえば、赤ちゃんが、

  • 特定の音を聞いたときに安心した
  • 特定の声色で泣き止んだ
  • 特定のリズムで身体が緩んだ

このとき、
音と身体反応が一対一で結びつく。

ここには、
定義も説明も理屈もない。

あるのは、
身体がYESと言ったという事実だけだ。

この「最初のYES」が、
意味の種になる。


2|意味は「あとから」説明される

言語学や哲学は、
しばしば意味を「説明」しようとする。

だが、その説明は常に後追いだ。

実際の順序は、こうだ。

  1. 音・刺激がある
  2. 身体が反応する
  3. その反応が記憶に残る
  4. 後から「これはこういう意味だ」と説明が付く

つまり、

意味は発生し、定義は後付けされる

という順序になっている。

源流語は、
この①〜②の層に位置する。


3|再現性が「源流」と「エセ」を分ける

ここで非常に重要な分岐点がある。

それは、再現性だ。

ある音や言葉が、

  • 時代を超えて
  • 人を超えて
  • 文化を超えて

同じ方向の身体反応を引き起こすかどうか

これが、
源流語か、エセ(擬似源流)かを分ける。

源流語は、

  • 聞くと自然に身体が反応し
  • 説明がなくても「分かる」
  • 理屈を超えて通じる

一方、エセは、

  • 聞いても身体が反応しない
  • 説明されないと分からない
  • 人によって解釈がバラバラ

になる。


4|血液型診断・数秘・源流語の同型性

ここで、一見関係なさそうな話をしよう。

血液型診断。
数秘術。
星占い。

これらはしばしば「非科学的」「エセ」と切り捨てられる。

だが、たっくんはここに、
源流語と同じ生成構造を見ている。

構造はこうだ。

  1. 非常に少ないサンプル(最初の1例)がある
  2. その1例が「それっぽい意味」を持つ
  3. 人々がそれに身体的納得を感じる
  4. 意味がラベルとして固定される

問題は、③の質だ。

  • 本当に身体が反応しているのか
  • 単に「当てはまる気がする」だけなのか

血液型診断がエセになりやすいのは、
再現性の検証が甘いからだ。

一方、源流語は、

  • 何度も
  • 何人にも
  • 同じ方向で

身体反応が再発火する。

ここが決定的に違う。


5|「意味があるように感じる」と「意味がある」は違う

人間は、意味を感じやすい生き物だ。

  • 当てはまっている気がする
  • 言われてみればそうかも
  • なんとなく納得する

だが、これは危険でもある。

なぜなら、

身体が反応していないのに、意味があると思い込む

ことが起こるからだ。

源流語成立論では、
この区別を非常に重視する。

  • 頭が納得しているか
  • 身体がYESと言っているか

この二つは、別物だ。


6|言語以前の「意味の萌芽」

源流語は、
必ずしも「単語」である必要はない。

  • 声のトーン
  • リズム
  • 呼吸

これらもすべて、
源流的意味を持ちうる。

たとえば、

  • 優しい声
  • 怒っている声
  • 安心する呼吸

これらは、
言葉が分からなくても伝わる。

つまり、

意味は、言語以前に成立している

ということだ。


7|文明は、源流から遠ざかる

文明が進むほど、

  • 定義
  • マニュアル
  • 規格
  • 数値

が重視される。

これは必要なことでもある。

だが同時に、
文明は源流語から遠ざかる

身体反応よりも、
説明が優先される。

その結果、

  • 分かっているのに動けない
  • 正しいはずなのに苦しい
  • 合理的なのに納得できない

というズレが生まれる。

これは人間が壊れているのではない。
源流との接続が切れているだけだ。


8|次章への橋渡し

――音が先にあり、言葉はあとに来る

源流語成立論を突き詰めると、
必ず次の問いに行き着く。

そもそも、言葉はどこから来たのか?

その答えは、
である。

次章⑩では、

  • 発声する身体
  • 聴く身体
  • 音→母音→子音→音節

という流れをたどりながら、

「言葉は後から固まった構造物である」

という視点を掘り下げる。

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