今ここに戻る方法

「今ここにいよう」

よく聞く言葉だ。
だが、やってみると難しい。

考えが止まらない。
視点が勝手に上がる。
世界が薄くなる。

それは意志の問題ではない。


今ここに戻れないのは、
戻り方を間違えているからだ。


多くの人は、
「今ここ」に戻ろうとして
思考を使う。

・集中しよう
・雑念を消そう
・意識を整えよう

だが、
思考で思考を止めることはできない。

それは、
波で波を消そうとするようなものだ。


「今ここ」は、
思考の場所ではない。

身体の場所だ。


戻るために必要なのは、
理解ではなく
接触だ。


最も確実なのは、
「重さ」に戻ること。

・足の裏
・椅子の感触
・床の硬さ
・体の重心

重さは、
嘘をつかない。


次に有効なのは、
「リズム」。

・呼吸
・歩行
・心拍
・揺れ

リズムは、
思考よりも速く
身体を現在に引き戻す。


ここで重要なのは、
「良い状態」を作らないことだ。

落ち着こうとしない。
穏やかになろうとしない。


ただ、

いま、何が起きているか

を、
身体レベルで受け取る。


不安があってもいい。
ザワザワしていてもいい。
集中できなくてもいい。


「今ここ」とは、
快適な状態のことではない。

起きていることを
起きているままに
感じている状態
だ。


考えが浮かんだら、
消さなくていい。

「考えがあるな」と
気づくだけでいい。


戻るというより、
落ちる感覚に近い。

頭から、
身体へ。


俯瞰から、
接地へ。


今ここに戻るとは、
世界を理解し直すことではない。

世界に触れ直すことだ。


この感覚が戻ると、
世界は再び
手応えを持つ。

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