――ピラミッドではなく「配線図」として文明を見る
私たちは「支配構造」と聞くと、
ついピラミッドを思い浮かべる。
- 上に権力者がいて
- 下に民衆がいて
- 上から下へ命令が降りる
という、分かりやすい図だ。
だが、このイメージは古い。
現代文明の支配構造は、
もはやピラミッドではない。
この章の結論を先に言う。
支配構造とは、上下関係ではなく
感情と行動を結ぶ「配線図」である
しかもこの配線は、
国家レベルから家庭レベルまで、
同じ形をしている。
これを、
たっくんは「支配構造のフラクタル」と呼ぶ。
1|支配は「命令」ではなく「誘導」である
まず、最も重要な前提を置こう。
現代の支配は、
「言うことを聞け」という形では行われない。
もし本当に命令していたら、
反発が起きる。
代わりに何が行われているか。
人が自分で選んだと思い込む選択肢だけを
あらかじめ用意しておく
これが支配の基本構造だ。
- 働く or 働かない
- 結婚する or しない
- 買う or 買わない
だが、
「なぜその選択肢しかないのか」は
問われない。
2|ピラミッドが機能しなくなった理由
かつては、
- 王
- 宗教
- 国家
が、
明確な「上」として存在した。
だが近代以降、
- 民主主義
- 個人主義
- 自由
が前面に出ると、
露骨なピラミッドは使えなくなった。
そこで文明は、
別の方式を採用した。
上下ではなく、横断的な配線
つまり、
人の内側を直接動かす回路だ。
3|三大配線:恐怖・承認・性
では、
文明は何を使って人を動かしているのか。
核心は、この三つだ。
- 恐怖
- 承認
- 性
これは偶然ではない。
すべて、
⑫で見た源流(0軸)に直結する要素だからだ。
4|恐怖の回路
――生存を人質に取る
恐怖は、
最も分かりやすい配線だ。
- 貧困への恐怖
- 孤立への恐怖
- 病気への恐怖
- 老後への恐怖
これらはすべて、
「生きられなくなるかもしれない」
という原始的恐怖
に接続している。
重要なのは、
- 恐怖そのもの
ではなく、
恐怖を“管理可能”だと思わせる構造
だ。
保険、制度、資格、肩書き。
これらは恐怖を消さない。
国家や市場を経由しないと
安心できない状態を作る。
5|承認の回路
――価値を外部に預ける
次に承認。
人は、
他者からの評価なしでは
自己を保ちにくい。
これは欠陥ではない。
社会的動物としての仕様だ。
文明はここを突く。
- 点数
- 役職
- フォロワー数
- 年収
これらを、
「あなたの価値」だと錯覚させる
すると何が起きるか。
- 自分の感覚より
- 外部評価を優先する
つまり、
価値判断の主導権が外に移る
6|性の回路
――最も強力で、最も扱いづらい
三つ目が性だ。
性は、
- 即時性があり
- 身体直結で
- 理屈を飛び越える
つまり、
最も源流に近いエネルギー
だからこそ、
支配との相性が最悪でもあり、
最高でもある。
文明はこれを、
- 解放すると危険
- 抑圧すると爆発
というジレンマの中で扱ってきた。
結果どうなったか。
性を地下化し、
代替回路に流す
労働、競争、消費、承認。
これらは、
性エネルギーの変換先でもある。
7|「自由意志」を装った箱
ここで決定的な構造が現れる。
人は、
- 働くのも
- 結婚するのも
- 消費するのも
「自分で選んだ」と思っている。
だが実際には、
選択肢そのものが
配線済みの箱
なのだ。
この箱の特徴は、
- 入るのは自由
- 出口が見えない
- 中で枯渇する
という点だ。
これを、
次章⑭で
**「2人限定ボックス文明」**として
詳しく見る。
8|フラクタル構造という意味
「フラクタル」とは、
全体と部分が
同じ形をしている構造
だ。
国家の支配構造と、
会社の評価構造と、
家庭内の役割構造。
すべて、
- 恐怖
- 承認
- 性
の配線で動いている。
規模が違うだけで、
構造は同一だ。
9|悪意ある黒幕はいない
ここで誤解してほしくない。
この章は、
- 誰かを悪者にする話
ではない。
支配構造は、
意図的というより、最適化の結果
として出来上がっている。
- 管理しやすく
- 予測しやすく
- 反乱が起きにくい
その結果、
この配線が残った。
10|なぜ違和感を覚える人がいるのか
ほとんどの人は、
この配線で生きられる。
だが一部の人は、
- 恐怖に鈍感
- 承認に飽きる
- 性エネルギーが変換できない
という特性を持つ。
すると、
配線が効かない
違和感、息苦しさ、
「何かおかしい」という感覚。
それは異常ではない。
配線に適合しなかっただけ
だ。
11|次章への橋渡し
――なぜ「2人」に閉じるのか
支配構造は、
最終的にどこへ収束するのか。
答えは、
最小管理単位だ。
国家 → 市場 → 企業 → 家庭 → 2人。
次章⑭では、
- なぜ結婚が基軸なのか
- なぜ2人で必ず枯渇するのか
- なぜ国家経由で補給させるのか
を、
箱の設計図として読む。